TALPKEYBOARD BLOG

TALPKEYBOARDは、2017年に開業したメカニカルキーボードパーツ専門ショップです。 このブログでは、パーツレビュー・製品比較・技術考察などを中心に、キーボードを楽しむための情報を発信しています。 一部の記事にはアフィリエイトリンクが含まれます。

STEP 2:PL法と頒布責任|自作キット・無償配布でも問われる法的責任

Photo by Sora Shimazaki: https://www.pexels.com/photo/close-up-photo-of-wooden-gavel-5668473/


リチウムイオン電池を搭載した製品の発火リスクについては、前回の「STEP 1:リチウムイオン電池の発火メカニズム|何が原因で、何が燃えて、どれほど危険なのか」で詳述しました。今回は製品を設計・製造・販売・頒布する際に問われる法的責任、特に製造物責任法(PL法)に焦点を当て、どのような場合に責任が生じるのかを解説します。


製造物責任法(PL法)とは

製造物責任法(Product Liability Law、通称PL法)は、製造物の欠陥により人の生命、身体または財産に損害が生じた場合に、製造業者等が損害賠償責任を負うことを定めた法律です。1995年に施行され、被害者保護と製品の安全性向上を目的としています。

参照元
・消費者庁「製造物責任法の概要Q&A」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/other/pl_qa.html
・消費者庁「製造物責任法の逐条解説」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/other/product_liability_act_annotations/


PL法における「製造業者等」の範囲

PL法では、以下の者が「製造業者等」として責任を負う可能性があります:

  1. 業として製造、加工または輸入した者
    • 営利目的でなくても、反復継続して行う場合は「業」と見なされます。
  2. 製造業者として表示をした者
    • 実際には製造していなくても、製品に自社の名称や商標を表示した場合。
  3. 実質的な製造業者と認められる者
    • 製品の形態や販売方法から、消費者が製造業者と誤認するような場合。

参照元
・Business Lawyers「自社で製造した試供品に欠陥があった場合の製造物責任」
https://www.businesslawyers.jp/practices/902
・EC-Lawyer「製造物責任法(PL法)の基本を理解しよう!」
https://ec-lawyer.com/427/


自作キットや無償配布品も責任の対象に

PL法では、無償で配布された試供品や自作キットであっても、製造物に欠陥があり、それによって損害が生じた場合には、製造業者等としての責任が問われます。営利目的でなくても、反復継続して製造・配布を行っている場合は「業」と見なされる可能性があります。

参照元
・Business Lawyers「自社で製造した試供品に欠陥があった場合の製造物責任」
https://www.businesslawyers.jp/practices/902


欠陥の判断基準と予見可能性

PL法における「欠陥」とは、製造物が通常有すべき安全性を欠いていることを指します。判断にあたっては、以下の要素が考慮されます:

  • 製造物の特性
  • 通常予見される使用形態
  • 製造業者等が製造物を引き渡した時期
  • その他の製造物に係る事情

また、合理的に予見可能な誤使用に対して適切な警告や対策を講じていなかった場合も、欠陥と見なされる可能性があります。

参照元
・消費者庁「製造物責任法の概要Q&A」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/other/pl_qa.html
・日本化学工業協会「製造物責任(PL)法に関連した よくある問い合わせ」
https://www2.nikkakyo.org/system/files/column289.pdf


販売者や頒布者の責任

製品を販売・頒布する者も、製造業者等としての責任を問われる場合があります。特に、自社ブランドとして製品を販売する場合や、製造業者と誤認されるような表示を行っている場合は注意が必要です。

参照元
・EC-Lawyer「製造物責任法(PL法)の基本を理解しよう!」
https://ec-lawyer.com/427/


PL保険の活用

万が一の事故に備えて、PL保険(生産物賠償責任保険)への加入が推奨されます。これにより、製品の欠陥によって生じた損害賠償請求に対する補償を受けることができます。ただし保険は事故が発生した後の金銭的補償に過ぎません。まず第一に、事故を起こさない設計・製造・販売体制の確立が先決です。


まとめ

  • PL法は、製造物の欠陥によって生じた損害に対して、製造業者等が無過失責任を負う法律です。
  • 自作キットや無償配布品であっても、反復継続して製造・頒布を行っている場合は、PL法の適用対象となる可能性があります。
  • 製品の設計・製造・表示・警告において、通常有すべき安全性を確保することが求められます。
  • 万が一の事故に備えて、PL保険への加入を検討することが重要です。

次回は、安全設計とリスク低減策について、設計者が取るべき具体的な対策や事例を交えて解説します。


📢 最新のガジェット&キーボード情報は X(@TalpKeyboard)でも日々更新中です!


www.talpkeyboard.com

www.talpkeyboard.com

www.talpkeyboard.com

www.talpkeyboard.com