Experiments with Lemon Batteries - レモン電池の実験 -
実は発電に興味があります。自分の使う分の電気は自分で賄いたいなと常日頃思っています。色々な発電システムは販売されていますが、初期費用と自分の残りの人生の時間を天秤にかけると、どう考えても普通にコンセントから電気を使ったほうが安いと気づき、なかなか実行に移せていません。
お隣のお宅の土地に、柚子の木がいっぱいあり毎年たくさんの実をつけます。お隣もお年を召されたせいか、ここ数年は収穫をせずに放置されています。このゆずで電池を作ったら何か動かせるのではないか、ゆずは毎年たくさんの実をつけるので、もしかしたら永久機関的なものになるのではないかと思いつき、実験してみました。レモン電池ならぬ、ゆず電池の実験です。うまくゆけば無線キーボードの電池につかえたりしないかなとの野望もありました。
注意:端子は薄い板でできています。手を切る可能性もあるのでご注意ください。実験後の果物はマグネシウムと銅の金属成分が溶け出している可能性があります。食用などには用いないでください。
レモン電池の仕組み
仕組みはこんな感じです。
レモンの果汁に2つの金属を入れると、マグネシウム板からは+のマグネシウムイオンが溶け出します。その際、同時に電子が生じ、-極のマグネシウム板から導線を伝わって、+極の銅板に向かって移動します。一方、+極の銅板では移動してきた電子を、+の水素イオンが受け取ります。この電子の動きによって、導線に電流が流れて電気が起きるのです。
詳しくはこちら。
レモン電池(ゆず電池)の実験
まずはお隣さんが外に出てきたタイミングを見計ってあいさつして、柚子の実をいただけないかとお願いします。お隣さんとは良好な関係なので、無論快諾。10個くらいいただきました。
次に実験用の電極をアマゾンで購入します。銅とマグネシウムの電極がいくつか入っている理科の実験用のものです。400円とちょっとです。
こんな感じのものです。穴が空いているところに被覆線をはんだづけします。
片方に銅の板、片方にマグネシウムをつけます。テスターを用意して準備完了。
とりあえずゆずを3つ直列に接続。電圧は0.95Vを観測。
電流は0.117mA。
電池として動作していることは確認できましたが、いかんせん電圧が少ないです。もう少しゆず達には頑張ってほしい。ふと金属とゆずの接触面積を増やすべきではと気づき、端子を根本まで押し込みました。1.8Vまで来ました。これはいける。ゆず10個にしたらマイコン動くのではなかろうかと電流の単位の読み間違いに気づかず喜びました。
電流です。ここで読み間違いに気づきました。0.385Aではなく0.385mAです。衝撃的な低さです。ゆずなんで当たり前なんですが。
キーボードキットに使われるマイコンの消費電流は10mAから20mAだそうです。全然足りてなかった...
ふと、手元にあったUSB Safety Tester を使って自作キーボードのPiPi GherkinとKleine Gherkinの消費電流を測ってみました。(割愛)Raspberry Pi Picoの消費電流はPro Microに対し約半分、10mA程度ということがわかりました。
この記事によると、Raspberry Pi Picoの消費電力は約5V、消費電流は約10mA。これをゆず電池に当てはめると、直列で9個、それを並列で26セット接続する形となります(あってるかな?)合計234個のゆずが必要となります...
234個のゆずはさすがにお隣も許してくれないと思いましたので、実験はここで終了です。改めて市販されている電池のすばらしさを思い知ることができました。
お子さん向けの実験としてはさほどお金もかからずに面白いと思います。ぜひ試して見てください。