キースイッチを基板にはんだづけすることなく自由に取り外しのできるPCBソケット、自作キーボードをお使いの方々はよくご存知かと思います。メーカーが指定する挿抜回数の限度は100回ですが、ふと、これ実際何回持つの?実はそんなに持たないんじゃないの?とふと疑問に思い、耐久力を調べる実験を行いました。
動機:
PCBソケットの耐久力って正直どうなの?
方法:
ソケットのついた基板とキースイッチを用意、キースイッチを指で持って脱着を繰り返す。100回毎にソケットとキースイッチピンを目視で確認する。治具はないので力技でがんばる。基板はSU120を用いました。
結果:
Twitterで報告してから追加で500回、計1500回脱着を繰り返したが大きな損傷はありませんでした。ソケットとキースイッチピンともに嵌合のゆるみや導通不良は認められませんでした。
1500回目が3枚目の画像です。ソケットは問題ありませんでした。そして指が痛いです。ソケットは端子周辺のプラスチックにスイッチピンが当たるので削れ始めてはいますが、接触や嵌合に問題はありません。逆にスイッチのピンのほうが薄く柔らかいので摩耗が始まっています。同一スイッチを1000回挿抜する可能性はおそらく限りなく無いと思います笑。
ソケットよりスイッチピン:
スイッチピンの柔らかさはなんにしてもトラブルの原因だと感じました。スイッチの導通接触部が一体型でそのままピンになってしまっているので、ピンも薄く弾性を持った金属なので、そもそも強度を持っていない可能性は考えられます。ちなみにピンはこの画像の中央少し下の、金属でできた大きいパーツと小さいパーツの2種類です。メーカーはCherryとGateronの2種類です。強度は指先で折り曲げられる程度です。
当店ではキースイッチをこれまで販売してきましたが、入荷時の検査で全体の5%程度はピンの曲がりが発生していました。修正できるものは修正するのですが、全体の0.1%は修正不能でした。修正不能としたのは曲がりと合わせてねじれです。特に裏から見て右側の硬いピンがねじれていると修正できません。逆に皆さんが気にされるバネの不良は、これも全数チェックしていますが、実は今まで一つも発生していません。
例えばキースイッチの硬い方のピンがソケットにはまっているが、柔らかいほうのピンがソケットからずれている、その状態でキースイッチを押し込んでしまうといとも簡単に柔らかいほうのピンがつぶれてしまいます。軽く曲がる程度なら指で修正できますが、折れたりねじれた場合はうまく修正することが難しく、そうこうしているうちに金属疲労で折れてしまう場合があります。面倒ですが、キースイッチ取り付け時にはいま一度ご注意することをおすすめします。
なお当店から購入されたキースイッチで万が一ピンの大きな曲がりやねじれがありましたら、お気軽にご連絡下さい。どうしても梱包や輸送の関係上ピン曲がりが発生することはありますが、内容を確認させていただき、交換させていただくようにいたします。
それでは、良いキーボードライフをお過ごしください。
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