先日e3w2qさんがTwitter上で公開されて、多くの方々にショックを与えた作品を紹介します。見た目は4x10のキーボードですが、何かが違います。ケースです。小学校の工作でよく使った方眼の工作紙でできています。つまりこのキーボードのケース素材は紙です。詳しく見てゆきましょう。
重くて内部空間が少ないと打鍵感がいいらしい→💡
— e3w2q (@e3w2q) 2021年3月19日
Keycaps : Cherry Profile PBT Double Shot Keycaps
Switches : DUROCK Full POM Switches (Stock)
PCB : SU120
Case : 工作用紙2枚、真鍮板2枚、非硬化・電気絶縁性エアコン配管用パテ400g、水性ツヤなし防水材#俺キー pic.twitter.com/tN76ypgJOx
重くて内部空間が少ないと打鍵感が良いという事実を確認するために、工作用紙に防水加工をほどこしケースを作成、SU120で基板を作成、すきまをエアコンパテで埋めてゆく作戦です。一般的なホームセンターで販売されている、安価な材料で作られています。エアコンパテは一袋70円前後です。
自作キーボードは、既製品では自由度が低いことを自分の好みに変えられる、キーボードを与えられたものとしてではなく、自らのものとする、的な良さもあると思っています。
— e3w2q (@e3w2q) 2021年3月19日
そうなんです。一から自作するというのは、大変さ、技術、時間と引き換えに、自分が欲しかった世界に唯一のものを手に入れられるという喜びがあります。それは既存のメーカー製品やキットを制作するのとは、少し違うものだと思います。
プレートを自分で切ったり、ケースを紙で作ってパテを詰めているときも、ちょっとそんな感じがしました。
— e3w2q (@e3w2q) 2021年3月19日
もちろん素敵なカスタムキーボードやキーボードキットは、その完成度や練られた設計や心地いい打鍵感など、ケース自作では到達が難しい良さがあるのですが!
もちろん技術的に作れないものもありますし、デザインや素材などの制限は出てきてしまいます。またプロの方々が作られたキーボードとはどうしても差がでてきてしまう事は仕方がない事です。でも自分で考えて作るのって、楽しいんですよね。
r m/kにバスタブキーボードあげたらビルド中の写真が見たいとリクエストがあったので pic.twitter.com/UI6GCdmw5t
— e3w2q (@e3w2q) 2021年3月25日
ほんとに全部方眼工作紙で作られていますね。小学校の時これでいろんなもの作りました。なつかしい。プロトタイピングするなら、単純な造形であれば3Dプリントするよりもこちらのほうが全然早いですね。今度やってみよう。
パテは無心で詰めていて写真がなかったのでめくって写真とりました。見にくいですが、基板の下はパテが詰まっています。Pro Micro周りはきっちり詰めてはいません pic.twitter.com/FvaRVB1het
— e3w2q (@e3w2q) 2021年3月25日
キースイッチを固定するプレートと基板の間、そして基板から下の部分にエアコンパテを詰めているイメージですね。ケーキ型に材料詰めている感じに見えます。
バスタブキーボード。
— Takeshi Nishio (@jpskenn) 2021年3月22日
後ろでモゴモゴ喋ってたり、実際の低めのコトコトという音とはちょっと違って聞こえるのですが、ご参考に。 pic.twitter.com/1cp8lrJM3w
短い時間ですが打鍵音が聴けます。思った以上にいい音がしています。反響するすきまが少ない、比重が重く音を吸収する素材であれば打鍵音はよくなるという事がこれでよくわかります。すばらしい。
エアコンパテはこちらです。Amazon Choiceになっています。税込91円と、全く高いものではありません。小学校の粘土のサイズを連想しがちですが、実物は10cm x 5cm x 2cm程度と比較的小さいのでご注意下さい。
オーム電機 エアコン配管用パテ (白/200g) 00-9203 DZ-ECP2/W
- メディア: Tools & Hardware
みなさんがエアコンパテでキーボードを作られたり改造されたりする中、注意事項も見えてきています。はなちさんが注意事項を記していますので引用します。
エアコン配管パテで充填した空き箱キーボード、使い勝手はとても快適ですが注意点も見えてきました。#自作キーボード pic.twitter.com/AmJUp1hFBa
— はなち (@haswellep) 2021年3月26日
パテの粘着力が結構大きい。
— はなち (@haswellep) 2021年3月26日
ダイレクトにPCBを乗せているとメンテで剥がす時メリメリと貼り付く
ので、PCBにダメージ注意。
特にSU120でリード線使ってるとハンダが外れることが何度かありました
エアコンパテは本来配管のすきま埋めで使われます。一度施工するとエアコンホースが外される数十年先までくっついておく必要がありますので、粘着力も相当なものです。PCBに塗り込むようにつけてしまうと、剥がす時に電子部品やジャンパ線を持っていってしまうかもしれません。ご注意下さい。
またエアコンパテには若干の油分が含まれています。可能性は少ないとは思いますが、PCBの表面の塗装やメッキ、ケースの塗装、樹脂部分などになんらかの侵食や跡を残す可能性があるかもしれません。あくまでも自己責任でお試し下さい。
追記:ケースの表面の塗装を若干食うかもしれません。
TOFUケース内のパテを剥がして、3回食器洗剤をつけたスポンジで洗いました。
— Takeshi Nishio (@jpskenn) 2021年4月3日
パテ成分の何かが残っていて、ケース外側のスベスベした感じには戻っていません。
ヤバい匂いとかは無いので、とりあえずこのまま使います。 pic.twitter.com/r85VOEtdvh
私でいくつかの素材にパテをつけて経過を見てみようと思います。状況はまた報告します。こういうのもまた楽しい工作の醍醐味です。
いえいえありがとうございます🙏ちょっと実験しようと思います。基板、アクリル板、木、アルミに塗装したケースです。数日放置して状況見てみます! pic.twitter.com/Do8DOZLmqH
— TALPKEYBOARD (@TalpKeyboard) 2021年4月3日
柔軟な発想と手を使ってモノを作る精神があれば、ある程度お金をかけずに目的に達することができるということを、ぜひご理解いただけるとうれしいです。
こちらは自作キーボードを試作するための基板SU120のページです。
SU120は当店でも販売しています。