今回で3回目のTALPキーボードニュースです。今回は海外と自作とオープンソースなキーボードに関する情報を多めに紹介してゆきます。毎回レイアウトが違っていてすみません。しばらく試行錯誤してゆこうと思っています。それでは始めます。
海外の作例・商品の紹介
海外でも自作キーボードの制作は盛り上がっています。少し日本の作例とは雰囲気が違うのが見ていて面白いですし、勉強になります。今回はそんな海外の作例をいくつか紹介します。
PicOrtho - Raspberry Pi Picoを用いた実用レベルのOrtholinear
Raspberry Pi Picoがリリースされしばらく経ちました。試作ボード的なキーボードの作例は発表されてきましたが、今回は実用レベルのもの紹介されていました。
キーボードのレイアウトはOrthilinearで、中心にOLEDとロータリーエンコーダーが配置されています。キースイッチはKailh Choc V1、キーキャップはMBK、ファームウェアはKMKを使っているようです。これを制作したsouthpawdesign.netはいくつかのキーボードキットを販売しているようです。これも近日中に発売されると、また面白くなるのではないでしょうか。
昨今半導体の供給が不安定になってきていますが、Raspberry Pi Picoであればある程度長期的かつ安定した供給が期待できそうです。キーボード用マイコンのセカンドソースについても、製作者やコミュニティが考えてゆく時期ではないかと感じています。
Corneを3Dプリンタを使って再活用する
分割形の自作キーボードキットの代名詞の1つとして長く人気のあるCorne。日本だけでなく海外でも人気があります。今回は3Dプリンタを使って自作したケースの作例を紹介します。
Custom travel case for my corne
運ぶ時にかさばらないよう折りたたむことのできるケースです。ケース自体は簡単な作りですが、ちょうつがいの部分の作り込みで、左右の間隔を広げるようにしているのが考えられています。キーキャップは後でご紹介するNUTYPE F1 KEYCAPです。シンプルでかっこいいですね。
Made an unibody crkbd case with low-poly aspect
これは3Dプリンタで自作した一体型ケースにCorneを納めた作例です。若干テント(山型の傾き)を入れているようにも見えます。Corneは持っているけど他のキーボードを入手してしまって利用頻度が減った方などは、このようなカスタマイズを試してみるのも面白いのではないでしょうか。
自宅の60%PCBを3Dプリンタで再活用する
A 3D-Printed Gasket-Mount Case for the YC66
何台もキーボードキットを制作された方でしたら、少し古いスペックで使わなくなったものをお持ちだと思います。例えばこの作例は60%サイズのキーボードのガスケットマウントケースですが、小さめの3Dプリンタで出力できるようにケースが3分割されています。こういったケースのデータは、さまざまなものがThingiverseなどのサイトで、無料で入手することができます。このようなデータを使って、ご自身で出力してケースを作り、余っているキーボードを活用するのも楽しいのではないでしょうか。
レゴで作るルブステーション
ルブステーションをロゴのパーツで制作したものです。パーツが置ける寸法にあわせてパーツを組み合わせているだけなのですが、こういう簡単な治具としてもレゴは活用できます。終わったらばらして片付けられますし。こういう使い方もありなのではないかと思います。
QMKと3Dプリンタを使ったオープンソースなトラックボールとマウス
カナダのPloppyという会社です。トラックボールとマウスのキットをいくつか販売しています。ケースは3Dプリンタで制作しているようです。画像を見るとそうだとわかりますが、そこを逆に素朴でかわいい感じに見せています。ファームウェアは自作キーボードキットのほとんどが使っているQMK Firmwareです。情報はGPLに基づき公開されています。使いやすそうですし、かわいいですし、作るのがとても楽しそうです。場所を取らないことを考えると、ガジェット的にはトラックボールやマウスのキットが増えると面白いなとは思っています。しかしどうも日本からは購入できなさそう?です。
BOOTHから
LHP14 Lite rev0.9
¥2,000-
先週アナログジョイスティック付き左手デバイスLHP14を発表したTrinity Ironworksさんから、また新作がリリースされました。今回はLHP14 Lite。5列x4列のキー配列にOLEDとアナログジョイスティックが装着される、左手用デバイスの自作キットです。Final Fantasy XIVで使用可能とのこと。価格は先週のLHP14も驚きましたが、LHP14のさらに半額の2,000円です。現在は在庫を切らしているようですが要チェックです。
Ergotonic 49 キーボード自作キット
¥ 12,000-(近日発売予定)
特徴のある形状の49+1キーの自作キーボードキットです。左右に分離されたキー配列ですが、ボディは一体型という、以前ご紹介したKinesis Advantage2やUnSplitに似た形状となっています。
先行領布版を入手された方々の組み立て情報がアップされてきていますが、ダイオードが基板中央部に集めて配置されていたり、LEDのモード表示が便利そうだったりと、色々な特徴が見てとれる自作キーボードキットです。現在初回ロットを検討中との事、購入を希望される方は商品ページのスキボタンを押してあげてください。
Key switch tester キット
¥1,600-
わからない人がみると全然わかりませんが、わかる人が見るとわかるキットです。MOMOのステアリングボスの所につけることのできる、ホーンスイッチのキットです。ちゃんとホーンマークもついていますので、車検の時も安心です。
ロート付きねじカウンター
Sサイズ(30本まで)¥2,000-(BOOTH/他サイズあり)
やや急須にも似た風流なデザインのこちらは、ネジを数えるためのツールです。自作キーボードや同人ハードウェアをキットとして販売する際にキット部品の梱包を行いますが、ネジの数を数えるのはなかなか集中力と根気が必要です。このねじカウンターの中に適当にねじを入れて振ると、ねじたちが穴にはまってくれます。はまらなかったねじを取り出して、ロートを個装袋にあてて、はまったねじたちをロート側から個装袋に流せばオーケーです。買ってみましたがなかなか便利です。おすすめです。
Gravity Keycaps
Highタイプ ¥9,800-(BOOTH/他タイプあり)
自作キーボードキットbat43、wings42用に制作された狭ピッチ、Kailh Choc V1スイッチ専用のキーキャップセットです。非常に複雑な形状をしており、作者のこだわりが見てとれます。bat43、wings42用ですが、Choc V1であれば他のキーボードでも装着できますので、お手持ちのキーボードのカスタマイズを検討されてみてはいかがでしょうか(ただし自己責任にて)。
ショップから
畳のパームレスト「コテマクラ」
¥3,000-(サイズS)¥3,500-(サイズL)
九州熊本県八代産のい草を使って作られた畳でできた、キーボード用パームレストです。適度に柔らかくてベタつかない畳という素材の存在をすっかり忘れていました。畳には抗菌、消臭、調湿効果と、さらに鎮静効果もあるそうです。60%に合いそうなサイズSとフルキーサイズのサイズLが販売されています。
追記:畳のパームレストが来ました。60%用を買いましたが、畳縁に両手の端を当てると40%にちょうどよかったです。さわやか。新しい畳の良い香りが新鮮です。
MBK Choc Low-Profile Keycaps
¥550-(遊舎工房)
Kailh Choc V1用の高品質のキースイッチであるMBKに、新色が登場したそうです。
とてもカラフルで素敵です。Chocキーキャップの選択肢がどんどん広がってますね。
https://shop.yushakobo.jp/products/mbk-choc-low-profile-keycaps
NUTYPE F1 KEYCAP SET
$29.95 USD
NUTYPEというMacBookライクなワイヤレスキーボードのオプションキーキャップです。キーボード本体がKailh Choc V1を使っているぽいので、流用がききそうです。価格はお安めで、カラーリングもいくつかあるようです。
https://nuphy.com/collections/shop
IDOBAO MA PBT キーキャップセットに新色登場
好評のMAプロファイルキーキャップに、新しい色のキーキャップセットが加わりました。ホワイト、ブラック、ベージュの3色です。ホワイトとベージュは昇華印刷、ブラックはレーザー刻印での印字です。選択肢が広がりました。
今週のTALPキーボードニュースは以上となります。こうやって見ると毎週色々な作例やキットが生まれてきているなと改めて感じます。スピードが早くてついてゆくのは大変ですが、自由で面白い自作キーボードの世界、ぜひ今後もご興味を持って頂けますとうれしいです。それではまた次回、よろしくお願いいたします。