ANTIQUE TYPEWRITERSというサイトには、個人コレクションの黎明期からのタイプライターコレクションが掲載されています。タイプライターの歴史(とてもまとまっています) コレクションの詳しい説明や販売、修理まで行われています。資料的価値も高く、しかも実物を触って修理できる方の文章なのでしっかりされています。分量が多いですが、本を一冊読む感じでご覧になられるとよいかと思います。
その中のコレクションページを見ている時にハタと気づきました。Ortholinear(直交配列)のタイプライターがいくつかあったのです。以下にいくつかの例を記します。
Automatic Typewriter(1888年製)
3x16の直交配列。スペースバーはAUTOMATICとロゴのある奥の大きなプレートだそうです。このスペースバーの位置は考え付かなかったですね。
Empire 1 Typewriter(1895年製)
3x10の直交配列で、下段中央の2U分がスペースバーで、手前側にエクステンションしています。おそらくですが、完全に機械式なので私たちのキーボードのような作りにすると重いんでしょうね。
Duplex 2 Typewriter(1890年製)
7x12の直交配列で、最下段がはみだした記号キーとスペースバーです。大文字と小文字でキーを分けているのが特徴です。
Stenophile – shorthand machine(1904年製)
2x10の直交配列です。速記用のタイプライターでしょうか。印字内容も特殊です。
現在のキーボードの配列が生まれた原因は、タイプライターと同一の配列にしたからであり、タイプライターの配列は、それぞれのキーをタイプするアームの形状(各文字を印字するためにそれぞれが干渉しない形状にしなければならない)という内容が定説でしたが、特にそうでもなかったかもしれない(特にタイプライターの方式が固まっていない黎明期においては)のかもしれません。
力のあるメーカーに似せた作りに他のメーカーがしていったのか、ユーザーが入手しやすいメーカーのものを選択していったのか。実は技術的な要因なのではなく、商売の話なのではないのかなと思いはじめています。
だって、多くのキーボードメーカーは、配列で冒険しないですもんね。
タイプライターは販売していませんが、自作キーボードとパーツを販売している当店のページはこちらからどうぞ。