数年前にヤフオクでネックが折れたボロボロの1972年式グレッチを入手しました。色々と考えながら修理したのですが、今回はそのうち、ノブをレジンで複製した記事を掲載します。何かの折に役立ったら幸いです。
なおこちらはメーカー製のノブを複製しています。今回はメーカーでもとうの昔に販売を完了しており、再入手の策を尽くしましたが入手できず、やむなく複製しています。ただし複製とわかるようにロゴの印刷はしていません。また頒布や販売の意図はありません。複製される場合は著作権などに重々ご注意ください。
ヤフオクで購入したネックがへし折れたジャンクの1972年式っぽいROCJET、ブリッジとノブが2つ欠品していました。ブリッジは汎用品で代用すればよいなと思っていたのですが、ノブはどうしようかと悩みながらの購入でした。
なぜかというと、ほとんどのグレッチの年代のノブは非常に似通っていて、また再生産品が入手できるのですが、この70年代の一時期のものについていたものは素材も形状も異なり、一番人気のなかった時期なので当時の中古を入手するしかありません。しかも70年代末期にグレッチが一度倒産する時に工場が全焼する火事を起こしたらしく、図面や治具が焼失してしまっているとも聞きました。
ヤフオクからお店のページなどしばらく探しましたが全然出てこない。マイナー機種の場合はこういう問題が発生するのが厳しいですね。どうしようかなと思いながら色々見ていたら、あった。
数年前に発売された、グレッチテネシアンのチバ先輩モデルです。46万円也。高。その分細かく凝ってますね。
さすがチバ先輩わかってらっしゃいます。かっこいい男のグレッチのノブはこれです。というかこれ新しく作ったのか!すごいなチバ先輩!というわけで神田商会のお問い合わせフォームから、理由を書いて購入させてはくれないかとお願いをしたのですが、部品単体の販売はやっていないそうであえなく断念。欲しかったな...
なので、ないものは作ろうと思い立ちました。ちょうどレジン細工の道具一式を持ってましたので、こちらを使ってノブの型を取ってレジンで複製できないかなと思ってYoutube見てたら外人さんがやってました。これ見てイメージつけて開始です。
まずはどのような精度で外見がコピーできるのかのテストがてら作ってみます。ノブの内側の穴は今回は作りません。外観のみとします。段階を追って進めます。
こちらが道具一式です。左から型取り用のシリコンとシリコンの硬化剤、食品用の真空容器とポンプです。真空容器といってもそこそこ空気がなくなる程度ですし、もれてきますのであくまでホビー用途です。容器の中はレゴブロックです。
まずレゴブロックでシリコン型用の枠を作ります。レゴブロックのすき間からシリコンがしみ出てくるので、マスキングテープなどでぐるぐると周囲を補強してあげます。
途中の工程と写真はかなりはしょってますがこんな感じです。シリコンと硬化剤を10:1の割合で混ぜ合わせたものを枠に流し込みます。そのままだと気泡がたくさん残るので、先ほどの食品用真空容器に入れて、ポンプでを150回程度シュコシュコします。すると気泡が表面にたくさん集まってきますので、それが30分ほど落ち着くのを待って取り出し、7時間くらいかな(温度にもよります)時間がたったら枠を取り外します。
取り外しました。かなりいい感じで複製できている予感がします。
次はこのシリコン型にレジンを流し込みます。UVレジンと安いUVネイル用のUVランプがありましたので、これを使ってみる様にします。UVレジンを型に流し込んで少し泡を抜いてからUV光を数分あてて硬化させます。
このように表面に気泡が残るので、針でつっついてつぶしたり、数が多い場合は先ほどの真空容器を使ったりしてできるだけ泡を抜きます。
UVランプを様子を見ながら照射します。固まっているかどうかを確認しながら何度が照射します。そして完成です。再現度高すぎてびっくりです。表面のGマークの段差まで再現している。そこは平滑でいいのに...
表面が見づらかったので、軽くサフェーサーを吹いてみました。ちゃんとできてます。キズも再現されています。そこは再現しなくてもいいのに...
アサヒペンのメッキ調スプレーのクロームで何度か重ね塗りをしてみました。ぱっと見はメッキ調に見えて、このように写り具合では本物っぽく見える感じとなりました。よくみると全然違うのですが...
側面にぽつぽつあるのが抜けきれなかった気泡です。
テストとしては上出来です。ここまでが現時点での複製作業でした。今後の課題ですが、肝心の裏側、シャフトと繋がる取り付け側をどうするか悩んでいます。うまく抜けるような型はどうすればよいかなと考えてました。
そうしているうちに、ふとebayでこんなの発見してしまいました。
うっかり買っちゃいました。高!!すみません.. でももうひとつ足りないので複製作業は続けてゆこうと思っています。レジンは樹脂ですので、どうしても質感は完璧には再現できませんが、透明だったり、何色かの色をつけたり、ネイルのように中にラメを入れたりなんかはできます。一部海外からの商品では販売されているのを見かけましたが、自分でも作れますので、チャレンジする方がもっと増えたりすると面白いかなとも思います(後編につづく)