これは orbiTouch キーレスキーボードといいます。キーボードなのにキーがありません。かなりインパクトのあるルックスです。今回はこちらを紹介します。
使い方をまず説明します。左右にふたつある丸いグリップを握ります。それが8方向に動き、左のグリップで文字記号のグループを選択、右のグリップでグループの中から入力したい色を合わせ入力確定というやり方となります。
なぜこのような入力方法の製品を販売しているか、理由があります。orbiTouchは腕や手や指に障害があり、標準的なキーボードが採用している19センチ四方のキーを打ちわける事が難しい方々向けに開発されたものなのです。先天的、後天的な理由による物理的な欠損、脳や神経が起因する麻痺などの身体障害から、視覚障害の方々も利用できる入力デバイスとして開発されています。
The orbiTouch Keyless Keyboard requires no finger or wrist motion to operate. An ergonomic keyboard and mouse in one, orbiTouch is an alternative to the QWERTY keyboard. It requires no software installation and works on nearly every device including iPad and Android tablets.
orbiTouch has helped individuals with: Hand and finger injury, carpal tunnel syndrome, cerebral palsy, multiple sclerosis, traumatic brain injury, spinal cord injury, arthritis, and autism.
Whether used for personal or work purposes, orbiTouch is a powerful communication tool that is simple to learn and easy to use.
古さを感じさせない良いデザインなので最近の製品のように見えますが、2000年代初頭には販売開始されています。発売したタイミングで、以前勤めていた会社でテスト販売を行いましたが、キーボードのカテゴリの中ではもっとも異彩を放つ製品で、購入はともかくとして見に来られる方が多かったのを覚えています。
左手側のグリップです。8方向にアルファベットと文字記号が色分けして書かれています。グリップをその方向に押し込むことで、グループを選択します。
右手のグリップです。入力したい文字記号の色に向かってグリップを合わせることで入力が完了します。5グループなのに他の色がいくつかありますが、これはファンクションキーなどの操作に用います。
101英語キーボードのマップを利用した入力表です。こちらはわかりやすいのでご参考にしてみてください。オリジナルの入力機器を考える際にも参考になるかと存じます。この表とマニュアルはこちらからダウンロード可能です。
2000年代初頭に発売された orbiTouch キーレスキーボードですが、当初は福祉機器的な立ち位置でのみの販売でした。イギリスのMaltron Keyboard もそうですが、日本にあるような福祉機器としての認定を、何らかの形で受けているのだと思います。
しかし 2010年代頃から、ゲーミングデバイスとしての利用が少しずつ増えた時期がありました。ゲーム内容によっては、使えるパッドになりそうです。2010年前後で日本国内でも新たに購入された方の書き込みなどが残っています。今はいろいろなゲーミングデバイスが登場していますので、下火になっているようです。
こちらは利用方法の動画です。ゲームでも利用されています。
ブラックのモデルもあります。これは発売当初から変わっていません。
価格ですが、おそらく販売数量が出ていないこともあり、かなり高額です。前に勤めていた会社で販売した際も、テストで3台入れて、なかなか売れなくて泣きそうになった思い出があります。今だと皆さんもっと注目してくれるのかなとは思っています。
発売以来20年以上に渡って販売されている orbiTouch キーレスキーボード、さまざまなキーボードたちのなかでも希少種だと思います。もし購入を検討されている方がいましたら、お早めの購入をおすすめします。