TALPKEYBOARD BLOG

TALPKEYBOARDは、自作キーボードのためのパーツやキットを販売するショップです。TALPKEYBOARD BLOGでは、当店で販売している商品に限らず、また自作キーボードにもこだわらず、キーボードについてのさまざまな情報を、当店の独断と偏見で記してゆきます。

Tagtype Garage Kit - 高速両手親指日本語入力機器

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tagtype Garage Kit | Takram

Tagtype Garage Kit。今から20年近く前、2003年に発表されたものです。概要は以下引用の通りです。こちらの資料もご覧ください。

「tagtype」は日本語入力のためのデバイスです。日本語は50の音節文字から構成され、それらは子音10文字×母音5文字のマトリクスでまとめることができます。tagtypeの入力方式は、5個ずつ2列に配置された10個のボタンを用いて五十音の行と段を交互に入力していくものです。これにより、既存のQWERTY 配列のキーボードに比べ、より簡易で直観的な操作が可能になります。tagtypeの入力方式はソニー株式会社および株式会社ベネッセコーポレーションによって製品に採用されました。

すばらしいデザイン。MOMAにも展示されているそうです。

www.moma.org

lleedd.com

しかし私はつい最近までこの作品を知りませんでした。現在残っているWebサイトに記されている内容を確認してゆくと、いくつかの気になるキーワードがあります。以下に引用します。

キーボードは欧米のオフィス環境に合わせ、プロのタイピストのためにデザインされたのがはじまりです。机に向かい両手10本の指を自在に動かすことで操作できるよう設計されています。しかし、インターネットやPCの到来により、ユーザの使い方や体験は多様化しました。これまで普遍的なインターフェースとして通用していたキーボードは、技術の進化、またそれに伴う多様なニーズに対し、対応しきれなくなったのが現状です。 tagtypeは、そのような課題に対して発案されました。  

従来のキーボードを車のマニュアル操作に喩えると、 tagtypeはオートマチック操作に近い使用感です。キーボードは入力の仕方を学習するために、ある程度の練習期間が必要ですが、tagtypeの場合、練習に多くの時間を費やすことなく使用することが可能です。完成度の高い製品を作るため、外部のハードウェアから内部の回路まで、プロトタイプを開発しました。ハードウェア、ソフトウェアがインテグレーションされたtagtypeは、机に向き合うことなく、どのような姿勢でも操作できるようクオリティ高くデザインされています。 

それから20年近くたった現在、キーボードがなくなってしまったかというとそうではありませんでした。スマートフォンやタブレットの普及に伴い、フリック入力に代表されるQWERTY配列以外での入力の割合が多くなり、アプリケーションのUIの進化によってポインティングデバイスの機能が増えてきてはいますが、キーボードはなくなりませんでした。この入力装置はフリック入力に取って変わられてしまったのかもしれませんが、ひとつ気になる点があります。

世界に普及しきっているものを否定して、技術的な優位性を全面に打ち出して置き換えを図るという策は、ややもするとうまくゆきません。こちらにナッシュ均衡をキーボード配列になぞらえたお話(の切り抜き)があります。このお話の通りだと思います。

 

ja.takram.com

高速両手親指日本語入力機器「タグタイプ・ガレージキット」の設計と製作

 

talpkeyboard.net