数年前ヤフオクで、1981年に発売された 8ビットパソコン 富士通FM-8 のキースイッチとキーキャップが出ていましたので落札しました。少し触ってみてしまっておいたのですが、今日掃除をしていたら出てきたので、ふと思い立って分解してみました。内容を以下に記します。
約40年前の富士通のキースイッチです。実は現在までほぼ形を変えることなく生産されているのですが、来年で終息というアナウンスが流れていました。日本純正の最後のメカニカルキースイッチになるのかもしれません。
裏は端子が4極あります。特別な機能があるわけではなさそうです。普通のオンオフです。キー本体の固定も兼ねているのかなと思ったらプレート固定だしそうでもなさそう。
分解しました。ツメ部分の隙間がなく細いドライバーを刺して底部パーツを取りました。精度は非常に高いです。ボディは肉厚のABS。ステムはPOMでしょうか。CherryMXのようなスプリングではなく板バネ式でした。ステムに埋め込まれているバネ部が底部パーツについている端子の端を押す仕組です。
ステムはうっすらルブしてある感じです。40年前のルブ。(とTwitterでは書きましたがすみません、こちら明るいところでよく確認するとルブはしていなさそうです。ステムとボディ無の光沢で勘違いしてしまいました)ステムについている板バネはこのようにステムの真ん中を貫き、キーキャップ取付部の先に出ています。ステムの剛性アップも狙ったのでしょうか。ステムを割ったような跡はないので、ステム成型時に板バネパーツを埋め込んだ一体成型のように思われますが、どうなのでしょうか。ちなみにステムの先端に板バネのパーツが露出していますので、強くスイッチを押すと指に刺さります。要注意。
ステムとケース底部のパーツです。ステムに埋め込まれている板バネの先端が底部パーツについている端子の端を押し、端子のの凹みが更に底部のシールの中心あたりを押す仕組です。複雑です。
底部パーツのバネパーツを外し、シールをはがすと金色をした円盤状のパーツが出てきました。円盤状のパーツを外すとこんな複雑な突起がある端子部となっていました。バネパーツの突起が円盤の中心を押すと円盤と中心の突起が接触して通電する仕組だと思います。底部プラスチックパーツと金属部分はこれもまた一体成型となっていて分解は難しいのですが、どうも円盤が乗る部分の外周にある突起3つが、4つある端子に振り分けられているように見えます。
CherryMX形状のキーキャップを見慣れている私には、非常に高い精度と機構の細かさは新鮮かつ非常な驚きでした。凝りすぎな部分はあるような気がしますが、ステムとボディの接触面の磨かれ方、接点がすべて点であるために摩擦による摩耗が少ない、複数の端子を設けており接触不良の可能性を低減している点など、長期間の安定利用を考えて作られていることが伝わってきます。このキースイッチはCherryMXよりサイズが大きくステム形状も端子の配置も異なるので、自作キーボードに簡単には使えないのが残念です。昔の日本は、しっかりと考えた良いものを作っていたという事を、知っていただけるととてもうれしいです。
それでは、よいキーボードライフを。
参考:
https://www.fujitsu.com/downloads/MICRO/fcl/keyboards/fes-360.pdf
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